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by jmc_music2001jp

メトロポリタン歌劇場

 このところNHKでは連夜メトロポリタン歌劇場の舞台を放映している。仕事の合間にチョットだけしか観ることは出来ないのだけれど、以前に持っていたアメリカへの印象とは明らかに違うものが聞こえてきて、心が動いた。

 アメリカのオーケストラの音色の華麗なこと、響きの豪華さ、演奏技術が非常に高度であること等はすでに十分承知している。しかしこのメトロポリタン歌劇場のオーケストラ、ソリストの歌唱力、オペラそのものの出来映え、そのどれもがある芸術的成熟期を迎えているように、私には感じられた。

 20世紀は「アメリカの時代」と言われている。その豊かな財力で世界をリードしたしたことは衆知の事実。だが芸術性については、ヨーロッパに一歩及ばない、といった評価も確かにあったと思う。しかし、このメトロポリタン歌劇場の舞台を見る限り、その認識とは異なる時代が始まったのではないかと思えるのだ。

 全ての高度な技術の集積が、20世紀の100年の時を経て、薫り高い芸術へと熟成したのではないかと思われる。高度な芸術としての味わいと薫りは、熟成を重ねたビンテージ・ワインそのままの、素晴らしいバランスを保っている。スカラ座とも違う、ウィーン国立歌劇場とも違う、違うけれども完全に納得させられる新しいビンテージ・ワインが歴史の中に誕生したのではないだろうか?
by jmc_music2001jp | 2010-03-05 02:07 | 芸術随想