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by jmc_music2001jp

ベルディ “シモン・ボッカネグラ”

 4月になっても、NHKBSの「世界のオペラ」は続いている。4月の新番組スタートまでの穴埋め企画かと思っていたが、さに在らず。オペラ・ファンにはラッキーな春となっている。

 今晩はパレルモのアッシモ劇場における録画、ベルディ作曲「シモン・ボッカネグラ」。序幕のバスのアリアが素晴らしかったので、いきなり引き込まれた。オーケストラの弦もいい響きがして、コレはいいぞ!と思った。

 暫く聴いていると、皆が素晴らしいわけではなさそうで、一番に「響き」の点で、次に「歌唱力・表現力」の点で少しづつ足りないところもあって、少々残念に感じられた。

 しかしフィエスコ役(バス)のF.フルラネットは終始素晴らしい響きで聴く者を魅了したし、このオーケストラの指揮者(F.オーギャン)のオペラへの造詣の深さに感嘆させられた。作り出す音楽に一点の迷いも無いのである・・・いかにこの指揮者がこのオペラを知り尽くしているかが良く分かる。指揮者の音楽性や指揮テクニックとは関係無く、とにかくオペラを立てから横から斜めから・・・知り尽くしていると言う凄さ!音楽を聴いていればソレが良くわかる。

 面白かったのはお客さん。オペラ劇場満員のお客さんは、終演後に「パラパラ・・・パラパラ・・」と言う程度の反応しか示さない。バスと指揮者のカーテンコールには多少の『声』も掛かっていたが、その他の出演者には「パラパラ・・・パラパラ・・」、早く幕を降ろさないと拍手が途絶えるゾっ・・・と観るものをハラハラさせる程であった。

 アリアで『心底シビレル』体験のある人達だけに、あの程度(イヤ、決してそんなに悪くは無いのだけど)だと「パラパラ・・・パラパラ・・」なのである。いやいや、イタリアのお客さんは《キビシイ!》・・・でも、なんて素敵なことだろう!
by jmc_music2001jp | 2010-04-04 02:17 | 芸術随想