追悼、中村紘子
2016年 08月 29日
番組の最後はベートーベンのピアノ協奏曲「皇帝」1楽章。紡ぎ出される全ての『音』が、《中村紘子》という存在の『核』から発せられ、劇場の空間に明確な音像を結んでいた。中村紘子を直接的には知らない全ての人(聴衆もTVの視聴者も)が、音楽を接点として《中村紘子》という本質の『生きた証』を記憶に留めることになった。
東京交響楽団もソリストの名演に答える素晴らしい出来であったと思う。日本もすでにこのような音楽家が存在する時代を迎えているのだ。戦後の桐朋学園の「子どもの為の音楽教室」が生んだ代表的な音楽家の一人が亡くなられた。
日本の音楽界が次の新しい時代へと移行する....まだ見ぬ未来の、そんな予感さえする雨の夜...。