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by jmc_music2001jp

サンクトペテルブルグの《スリ》

 昨日は<詐欺師>のお話をしたので、今日は<スリ>のお話をいたしましょう。

 5年程前<jmc欧州音楽の旅>シリーズの流れで、サンクトペテルブルグを訪れたことがあります。この時は本命として立てていた<ドイツの旅>が旅行社のチョンボで中止。その代わりとして、極親しい友人5人だけでサンクトペテルブルグに滞在し、オペラ・バレーと美術館を楽しもうと言うことになりました。

 遡る4年前の事、東欧を旅した時にサンクトペテルブルグに2泊ほど滞在、「次回はココだけに滞在型で訪問したいね・・・」と話し合っていたからです。メンバーは第1回から全ての旅に参加している人ばかりなので、私の持論である<なるだけ現地の人に近い体験>を重視することにして、街中を移動するときは地下鉄やバスなどを利用しようと言うことになりました。

 3日目の事でした、宿泊しているホテル「モスクワ」からエルミタージュ美術館に行くのに、市バスを利用することにいたしました。同行した女性達を先に乗せバスに乗ると、ずいぶん混んでいて、入り口あがって間もなく運転席のところで動きが止まりました。

 しばらくして、フッとバスの後部座席に目をやると、席がたくさん空いているではありませんか???運転席のすぐ後ろの席にゴッツイ若いお兄さんが通路に足を投げ出して通れなくしているのです。私は「奥に通してくれ」とお兄さんの太ももを手の平でポンポンと叩き、合図を送りました。お兄さんは「次で降りるから、モウ直ぐだョ」とロシア語で語ります。ロシア語は分からなくとも、雰囲気で意味することは分かります。それでも奥の座席に座ろうと思ったので、さらに太ももを(イイからイイからと)ペタペタ叩きました。これにはさすがのお兄さんも少し気味悪そうになって、足を開いて通してくれました。

 奥の席に座ると、前方の様子がいかにも異様です。空いたバスの入り口付近で4人の日本人がゴッツイ5~6人のロシア人の男どもに囲まれている風景。「これは旅行ガイドブックで見た集団スリに違いない」!!

 私は日本語で「これは明らかにおかしい。皆さん注意しよう!」と呼びかけました。それから立って先程のお兄さんの所まで行って、私の後ろに居た3人の女性に「奥にいらっしゃい!」と声をかけて、再びお兄さんの太ももをペタペタと叩きました・・・こうして女性3名は後部の座席に移動することが出来ました。

 さて残るは友人(男)一人、入り口のステップでゴッツイ男達に囲まれています・・・・先ず「荷物を預かりましょう!」と声を掛け、手を伸ばして手提げバックを受け取りました。それを座席の奥さんに渡すと「チャックが開けられている!」の声、いよいよ本物です。

 緊迫感漂うバスの中、先程のお兄さんの所に行って、もう一度太ももをペタペタとやって、隣の座席に座らせて欲しいとジェスチャーで伝えました。こうなるとお兄さんは素直に言うことを聞いてくれます。彼の奥隣に座って、この現場を固唾を呑んで見守ります(この辺はかなりの緊迫感でした)。

 友人がこじ開けるように動き出して、一人の男が後ろから絡みつくような状態になり、それでも抜けきって奥の座席まで移動ができました。集団スリの面々は、間もなく止まったバス停で降りてゆきました。友人の「財布が無い!」の声・・・結局、男性二人は美術館行きを変更、日本大使館に被害届けを出すことになりました。大使館員いわく、この国の警察に被害届けを出しても無駄骨を折るだけですョ・・・そうだろうナ、と思いました。

 ココまででも、立派な<スリ体験記>となるのでしょうが、これで終わらないのがロシアです。美術館の帰りの満員バスでも、またまたスリに出会ったのです!!満員スシ詰めのバスに、またもやゴッツイ男が乗ってきて、私の前に立ちました。(この男、スリの匂いがする・・・)と思ったら、案の定でした。先ず私に「スリに気をつけろョ」っと(そのスリが)話しかけます。(こうなると何故かロシア語も伝わってしまうから不思議・・)

 私は「手に持っているカバンから目を離してはいけない」と思い、下を向いてカバンを見続けました。男は「ポップー」とか、何やら語りかけてきて私の気を逸らそうとします。(コレがスリの常套手段!この頃には、すでにイッパシのスリ評論家の域に達していました・・・!)。カバンの前にある彼の手指が実に滑らかに動き続けています。これまでに見た人の指で、もっとも滑らかな動きでした。

 同乗しているメンバーに注意するように日本語で伝え、バスを降りるタイミングを計りました。次で下車することを仲間に伝えて、バスが減速しはじめた瞬間「アッ!あれッ!!」と右後部の天井を指差しました。スリが思わず指先の天井に目をやった瞬間に、サッっと身を翻し、隣の乗客と入れ替わりました。(クリーン・ヒットです!)

 止まったバスの扉が開き、降りようとする私とスリの男の目が合いました。すると乗客の肩越しにスリの手が伸びてくるではありませんか。「うン!」・・・目で合図を送るスリ。私もチョット目で答えてから、その手と握手。スシ詰めの車中から、停留所に降りたちました・・・・これが<サンクトペテルブルグのスリ>のお話。もちろん実話です。

 人生には、どんな人にも一つや二つ変チクリンな体験があるものでしょう。<詐欺師>だったり<スリ>だったり・・・。
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by jmc_music2001jp | 2009-06-07 03:45 | 芸術随想