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by jmc_music2001jp

『音』が“踊る”

 日曜日は高校時代の同級生三人と連れ立って大分県別府の友人を訪ねた。彼も同級生で3年8組の同じ教室で学んだ仲間・・今や《オーディオの猛者》である。皆音楽好きの仲間だが、私を除く4名はいずれ劣らぬ《オーディオ・マニア》、中でも別府のS君は“半端でない!”マニア・・・なのだ。

 丁度3年前に、同じメンバーで彼のオーディオ装置を拝聴する為に訪れている。その時は一泊して、シーズン最期の“河豚”を楽しんだ。今回は日帰りで、新しいオーディオ・システムを拝聴し、別府温泉を楽しんで帰ることにした。

 10時20分に我が家を出発。九州自動車道<太宰府インター>より上がり、鳥栖ジャンクションより大分自動車道へ。お天気が良かったせいか、いつもより車が多い高速道路をノンストップ、まっしぐらに別府を目指した。所用時間1時間10分。別府インターを降りると、昼食をとって、1時に訪問先のS邸に到着した。

 新作のスピーカー・システムに真空管を取り替えて比較試聴してみたり、以前から持っていたタンノイのシステムと聴き比べたりしたが、同じCDから様々に異なった特色が現れ出てくるのが非常に面白かった。

 一番興味深い体験はゲルギエフ指揮・キーロフ歌劇場管弦楽団による「春の祭典」(ストラヴィンスキー)。新しいスピーカー・システムで聴くと、音楽の躍動感としなやかな生命感が際立ち、まるで音楽そのものが踊りだしたかの様に感じられたことだった。本来バレエ音楽なのだが、踊り手ではなく『音楽』その物が眼前で踊り出す。こんな「春の祭典」は初めて聴いた!素晴らしい演奏だ。

 これを真空管を換えて試聴すると、音楽そのものの「踊り」が消えて、通常の演奏に聴こえる。さらにタンノイにして聴くと、楽器の位置関係はより明確にはなるものの、オーケストラは劇場のオケピットに入った「劇場の客席で聴く演奏」に聴こえてくる。

 もう一つ面白い変化にも気が付いた。「春の祭典」冒頭のファゴットのソロは、最高音の<レ>の音が難しい。新作のスピーカー・システムでは気にかかる事は無かったのだが、タンノイに換えると、吹き始めの一瞬にリードのノイズが入るのが聴こえて、そのような再現性に優れていることが分った。

 シャープな反応と躍動感溢れる新作のスピーカー・システムでは、音が鳴り損なう一瞬を消し去って、音楽に生命を吹き込み響かせる方向に再生してしまうのだ。本来の音の状態を再現することに限定すれば、タンノイに軍配が上がるのだろう。しかし、あのような躍動感に溢れた「春の祭典」は後にも先にも無いだろうと思うし、何よりも『音そのものがダンスする』体験は衝撃的であった。

 夕方5時過ぎまでアレコレとオーディオを楽しみ、予定を2時間もオーバーしてS邸を後にした。せっかくの別府、温泉を楽しまない手は無い。昭和初期の建築物がそのまま残る竹瓦温泉に移動する。

 昭和初期の建築物は、流石の佇まいを見せていて秀逸。入湯料(何と!百円)を払い、<男湯>の暖簾をくぐると<オォ〜っ!!>っと思わず声を上げた。大きな空間に脱衣場と湯船が一つになって、橋の欄干のような手すりを伝って階段が一階下へと続き、大きな湯船にやや白濁した温泉が、折からの夕暮れの明かりに照らされている・・・。洗い場の床石は、永年の温泉の流れで黒ずんだ三角形のシミに変色して.....これほどヒナビタ温泉は初めてだ。まるで白黒映画の中に迷い込んだような気分.......『ひなびた風情』と言う言葉があるが、この場合ココから「風情」と言う言葉を外して、ありとあらゆる「ヒナビタ」を集めて集約したような印象だ。ところがこの温泉、建物の外観・内装・風呂を総合すると、大変『ひなびた』・・・結構な温泉である。

 大分への道中、鶴見岳には白く残雪が残り、春は未だ遠しの感があったが、今日の福岡には桜の便りが届き、さっそく近くの公園で春の訪れを確認した。
<竹瓦温泉、同行した3名の同級生。夜の公園で春の訪れを確かめる>
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by jmc_music2001jp | 2011-03-29 00:18 | 芸術随想