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by jmc_music2001jp

ウィーン・フィル《シェーンブルン夏の夜のコンサート》

 2011年6月2日にシェーンブルン宮殿の庭園に舞台を設え開催された「夏の夜のコンサート」。庭園の真ん中に宮殿側に向けた舞台(透明のアクリル樹脂)を設置、沢山の椅子が並べられ、舞台背景の丘の上にはライトアップされた建物が夜空に浮かぶ。満席の聴衆は、この美しい宮殿を背景に見ながら、夏の夜を楽しんだ。

 丘の上には沢山の人だかり、ゆっくり散歩している人もいる。ここは所謂<シュテー・プラッツ>「立ち席」なのだ。きっと1ユーロくらいの値段だと思う。(ウィーン国立歌劇場の立ち席が、懐かしく想いだされる...)

 演奏は途中のパガニーニのヴァオリン協奏曲(第1番・第1楽章)から聴いた。ベンヤミン・シュミット、若い男性のヴァイオリニスト。熱演タイプの演奏家である。常に<熱演>していて「何」が「ナニ」なのかが不明確になってしまうのが残念。音という<布>を纏って熱演するのだが、<布>が<服>に仕立て上げられていないので、何処の誰なのかも不明となる。世界の民族には、その国の伝統を伝える民族衣装と言うのがあって、その色彩やデザインが民族の精神性さえも伝えてくれるのだが、そのスタイルに関心を示すことなく、闇雲に熱演する。この曲は<ジプシー・バイオリン>と言う明確なスタイルで書かれているではないか・・・。

 指揮はゲルギエフだったが、面白い事に「音の厚み」が<ロシア風>で少々厚ぼったい。ここにも<ジプシー>のスタイルは感じられなかった。プログラム最後の曲はムソルグスキー「展覧会の絵」。本家ロシアの作曲家だけに大いに期待が持てた。結果は『神懸かり』とはゆかなかったが、そのような演奏が出来る人だけに少々残念。しかし、そう何時もいつも『神懸かり』が起こるわけもないし、野外と言う通常と異なる条件も影響したであろう。

 ところで、シェーンブルン宮殿の庭とは、何と素敵な舞台であろうか!世界最高の野外コンサートの舞台だと思う。歌劇場バレー団によるバレーとのコラボレーションが成功したのも、シェーンブルンと言う舞台装置があってこその事だ。

 アンコールは2曲。ヨハン・シュトラウスの「ウィーン気質」とポルカ「ドナウ川の川辺で」。これが素晴らしかった。ゲルギエフの指揮を飛び越えて<ウィーン気質>が溢れ、溌剌と躍動していた。ゲルギエフも一緒に楽しんでいる様子で、花火の演出も大変に効果的であった。この2曲でもう十分、溜飲をさげた。

 
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by jmc_music2001jp | 2011-10-16 01:39 | 芸術随想