“金”を施す
2011年 11月 17日
2年に1回くらいは、必ず<この手>のことに取り組むようにしている。つまり、専門外で全くノウハウを持たない事柄に挑戦するのだ。色々調査して実行するうちに、自分の中に新しい領域が開ける気分になり、とても面白いし精神衛生上も随分イイように思われる。
金箔に取り組んだのは前述の理由によるのだが、実は《金継ぎ》については25年程前、あるご夫婦が遊びに着たときに、ご主人の口から発せられて以来、気になっていた。つまり、欠けた器を金を施して本来の姿を再現させるものである・・・・ずっと気になっていた。
以前ブログにも書いたと思うが、長男の大学院時代に「何か一つくらい家事の手伝いに責任を持たせた方がイイだろう」と思い、夕食後の食器洗いの家事をやってもらうことにした。そうすると、私の友人の陶芸家<山本源太>の器の数多くが欠けることになった・・・扱いが乱暴なのである。「これも教育費か!」と心の中で泣いたことを覚えている。
此れ等の食器の<金継ぎ>を、このところの仕事の隙間を見つけてはやっている。ノウハウは墓石の金文字で我が物となっているのだ。ノウハウとは面白いもので、やればやる程新しい発見が加わってくる。掲載した写真は源太作の杯で、欠けた部分に金を施している。
ところが!先日NHK-BSで尾形光琳を見た。杯の中に金箔で三日月が描かれ、酒を入れると、水面に映った月のように見えるのである!・・・何と素敵な意匠であろうか!すくなからず《感動》した。
・・・と言う訳で、今度は源太の杯に三日月を描こう・・・と言う気になった。それも一部に雲が掛かった三日月で、その雲の具合と月光に照らされた雲の外側の輝きをどうするかが最大のポイントなのである!
今日は<before>状態の杯を掲載しておこう。はたして<after>はあるのか?・・・乞うご期待!
<山本源太の杯before>
