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by jmc_music2001jp

2013年“ザルツブルグ音楽祭”

 2013年8月“ザルツブルグ音楽祭”に我がNHK交響楽団が招かれ、フェルゼンライーター・シューレで演奏会を開催した。実に快挙!日本人として嬉しいかぎりだ。

 私が聴いたのは、プログラム最後のベルリオーズ『幻想交響曲』。桐朋学園4年のA組オーケストラで首席を務めた想い出の曲でもある。録音は会場1箇所のステレオ・マイクで収録されてるようだった。個々の楽器の音の生々しさは無く、会場空間で反射された音がミックスされ1個にまとまった状態を収録した音質だ。少し遠くから聴こえて来る感じで、お客さんの耳にもそのように聴こえる。

 指揮がかなり大雑把な大振りのせいで、団員は自らのコントロールと互いのアンサンブルに神経を払いながらの演奏となる。オーケストラの音色は十二分にコントロールの行き届いた“第一級”のもの、聴衆からは日本の演奏技術の高さについて、惜しみない賞賛を獲得したのではないだろうか。

 アジアから初めて招かれた“ザルツブルグ音楽祭”、団員の意気込みが高かったであろう事は、想像に難く無い。そこで力んでしまうのは2流であって、自らの技術に自信のある団員は、より一層コントロールに気を配ったに相違ない。いつものN響にくらべても、格段に滑らかな美しい音(美味しい音と言ってもイイ)であった。

 少し残念だったのは、コントロールに気を配りすぎたのか(それとも指揮者の要求?)終楽章の『悪魔』の語り口や様子を金管(主にトロンボーン)で現しているのだけれど、それが何とも<紳士的>に過ぎるのである。悪魔の饗宴の狂気が乱れ狂う断末魔においてさえ、遂にトランペットもトロンボーンも隠れたままであった。

 放送の休憩を挟んで放映されたのは、同じく今年7月にフェスト・シュピーレル・ハウスで開催された演奏会の様子。グスターボ・ドゥダメル指揮のマーラー「千人の交響曲」。オーケストラはシモン・ボリバル交響楽団。ドゥダメルの母国ボリビアの楽団。これも中米から初めての招聘だろうと思う。

 最初の調弦のラの音から、先ずN響との『音質』のレベル差が耳についた。技術もそうだろうが、楽器の値段の違いが一目(聴?)瞭然。お気の毒ではあるが、実力の違いは如何ともし難い。合唱団はオーケストラに同行した団員の他に、ウィーン国立歌劇場合唱団やウィーン少年合唱団が加わっていた。

 練習は(恐らく)前日と当日の会場リハーサル・・・と言う事が容易に想像される。互いに響きとして融合されるには至らず、従って「世界を共有」する手前で本番が始まった・・・と言った様子だった。ドゥダメルは才能ある指揮者だと思うが、ヨーロッパの伝統をシッカリ受け継いでいるオーケストラを指揮した時、その才能が伝統に雄弁な語り口を与え、大いに魅力を発揮する。しかしヨーロッパの伝統が血の中に無いボリビアのオーケストラであった場合、彼の努力もやや上滑りに終わるような気がするのだ。
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by jmc_music2001jp | 2013-09-23 03:02 | 芸術随想