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by jmc_music2001jp

『マリアージュ』  [手記-5]

 3日目は、モン・サン・ミッシェル最上部の聖堂で12時のミサに参列し、午後の2時モン・サン・ミッシェルに別れを告げました。約262Km離れたロワール地方トゥールへのバス移動です・・トゥールに到着したのは、夕方でした。

 トゥールは非常に落ち着いた雰囲気の街。トゥール駅前広場に面して、一帯は落ち着いたグレーの建物に囲まれています。駅の左手にある大きな建物が、我々が宿泊するグランド・ホテル。夕食は広場を挟んで、ホテルの真向かいにあるレストランです。皆でゆっくりと歩いて、夕食の会場に向かいました。

 今回の旅のテーマの一つが「地方の伝統料理と地元ワインとのマリアージュ」です。今回の企画のタイトルは『フランスの芸術と美食の旅』。オペラ・バレーや美術館と同等に、訪問する地方の郷土料理とその土地で作られたワインとの『幸せな結婚』を、味覚を通して体験することが目的です。

 企画を練る段階で、旅行社の担当者にうるさくシツコク注文を付けたのはこの点でした。通常の海外旅行で出て来る食事は、量ばかり多くて美味しくも無いものや、巨大で甘過ぎる食後のケーキだったりとか・・とても日本人向きとは言えません。訪問する街毎に、地元の人に人気のレストランを調べ、そこで郷土料理とその料理に最高の相性の地元産のワインをセレクトして準備させるよう、厳重に注文を出しました。

 美食の国フランスで、郷土料理と地元のワインの『幸せな結婚』とは如何なるものか・・・それ等の体験は、今回の旅行で最も興味ひかれるものの一つでした。これは日本に居ては決して体験できるものではありません。フランスのその土地その地方が積み上げて来たものがナニであるのか・・・興味の尽きないテーマです。

 今回、行く先々での土地の料理と土地のワインの醸し出す味覚の世界は、それはそれは素晴らしいものでした。一つひとつが大いなる満足を与えてくれて、思い出しただけでも一杯イッパイになり、抱えきれず溢れ出すような気持にさせられます。

  フランスのワイン醸造の歴史についての知識は有りませんが、ザッと見積もっても2千年程、ワインの質を向上させ、それと相性の良い料理を工夫し続けながら、今日に至ったに相違ありません。

 先ずワインと相性の良い料理を様々に工夫し、より美味しい料理を目指して改良改善の努力を惜しまなかったことでしょう。そしてワインそのものの質の向上、更にそのワインに合う料理の追求.......。こうして『料理とワインの幸せな結婚』と呼ばれる、その地方地方の特色ある料理が生まれたのだと思います。

 その地方の郷土料理を食べ、ワインを口に含んだ時の印象に、共通するものがありました。料理の味わいを、その背後でワインがサポートしていて、ワインそのものが料理の味を超えて主張することはしない・・・料理とワインは一つの空気のような存在になってしまう・・・そこで料理は、料理だけの時より、いっそう無理のない自然な姿で存在します。そしてワインはその料理を、そのままにソッと包み込んでいる・・・。

 「料理とワインの幸せな結婚」とは、そのような事だったのか.......!料理はワインとの最も素敵な関係を求めて、あらゆる要素についての試行錯誤を積み上げていったことでしょう。そしてワインはその料理がそのままの存在であれるように優しく想いやっている....。

 『幸せな結婚』とは、妻のそのような努力と、夫の妻への想いやりの関係を言うのではないでしょうか。今回の旅の、それぞれの郷土料理と地元産ワインの『マリアージュ』を体験して、そのような印象を抱きました。
by jmc_music2001jp | 2014-07-19 01:25 | 音楽企画制作