クラシック音楽、日本の問題ー[Ⅲ]
2015年 10月 05日
クラシック音楽を支える人達、つまりクラシック音楽愛好家の現状はどうなのでしょう?【統計局平成23年社会生活基本調査】によりますと、クラシック音楽鑑賞者:978万人、楽器演奏者数:1,091万人とあります。
クラシック音楽鑑賞者より楽器演奏者の方が多いのが注目されますが、これはブラスバンドの体験者が多いという事なのではないでしょうか。私の身近な体験からすると、 クラシック音楽鑑賞者(特に生の演奏会)では高齢者の比率が非常に高いように思います。平均で60歳くらいの年代の人達が支えているのではないかと思われます。また前述のクラシック音楽鑑賞者数と楽器演奏者数は、互いに重なることは無いのではないでしょうか。ブラスバンドの現状を見ていると、ブラスバンド出身者がそのままクラシック音楽鑑賞者になってゆくとは考えにくい。このような現状も踏まえて、クラシック音楽の若い愛好家を如何にして育てるかが課題となるでしょう。
もう一つ、日本のクラシック音楽愛好家は《オーディオマニア》が非常に多いと言うこと。レコードのSP盤やLP盤の時代、西洋のクラシック音楽は『高嶺の花』でした。わずかにSPやLPのレコードに針を落として、その香りを想像する以外に方法は無かったのです。こうして日本のクラシック音楽ファンは、オーディオを入り口として音楽に接してきたと言う歴史を抱えています。その後、オーディオ装置そのものの特色・特徴・嗜好の違いをマニアックに追求することに軸足を移して行く傾向も現れました。「音楽鑑賞」=「オーディオ鑑賞」と言う《小宇宙》の住人、日本のクラシック音楽愛好家の、特色ある傾向の一つと言えるかも知れません。しかし、これらオーディオマニアも高齢者が多いのではないでしょうか?