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by jmc_music2001jp

クラシック音楽/日本の問題-5

 明治維新の<脱亜入欧><文明開化>の方針に基づいて、政治・経済・文化の全てについて欧米を手本とする政策が急ピッチで進められました。明治維新 (1868年)以来、今日(2017年)までの149年間、日本の文化政策は同じ路線の延長線上を進んでまいりました。歴史的観点に立てば、150年弱の時間で「西洋音楽」が(日本)民族の血肉にまで浸透するハズも無く、いずれ中途半端な状態であることは避けようもないことでありましょう。

 急ピッチで西欧文明の導入を進めた日本人が、先ず<外観>からの導入に踏み込んだのは、無理も無いことだと思います。音楽学校・オーケストラ・オペラ、このように西欧で積極的に支持されていたシステムを<先ず導入する>ことから日本の<文明開化>は始まりました。

 第2次大戦後、1970年代の高度成長期ではピアノ・ブームが到来し、続けて全国に音楽大学の設立が続きました。同時期には全国の中学校・高校にブラスバンドが次々に誕生、学校における音楽部活動は合唱からブラスバンドへと移行してゆきます。続いて全国の大学には学生オーケストラが誕生、さらには市民オーケストラ・市民バンドが数多く誕生しています。近年では全国で<音楽コンクール>が花盛り。これは「何か新たな事を」と考えた時に思いついた結果なのでしょう。

 一見、これだけ盛んな<音楽>であるにも関わらず、どう見ても<日本国>や<日本国民>から遊離していて、根っこを大地に張り巡らせているようには感じられません。

 では、西欧ではどのような歴史を歩んできたのでしょうか?
7世紀(ca.650年 ) スコラ・カントルム(聖歌の演奏/教育機関)がローマに創設。8世紀(ca.750年 )フランスにてローマ聖歌とガリア聖歌が統合、グレゴリオ聖歌として発展します。このように西洋音楽の源流は、教会の中で「祈り」と共に産声を上げています。

 11世紀フランスのトルバドゥール、12世紀ドイツのミンネザングはいずれも 宮廷 (支配階級)において活躍した吟遊詩人達でした。 15世紀(1448年) 世界最古のオーケストラとして、デンマーク王立管弦楽団が創立。17世紀、ヴェネチアで最初のオペラが演奏されています。18世紀(1743年)宮廷楽団でも歌劇場専属でもない管弦楽団としては世界最古のオーケストラ、ライプツィッヒ・ゲバントハウスが発足しています。このように、西洋音楽は21世紀の今日(2015年)までに2000年弱の歴史を積み重ねているわけで、150年弱の歴史しかない日本と比べようもないのは致し方ないのかも知れません。

 しかし、西洋音楽が広く国民の血肉として浸透した理由が「経過した時間の長さ」だけにあったのでしょうか?明らかな理由の一つに、毎週の教会のミサに聴くパイプオルガンの響きであったり、祈りと共に歌われる賛美歌であったのは間違い無いでしょう。 あの重厚なパイプオルガンの響きに包まれることは、 今日の日本においても尚、ほとんどの人にとって不可能な事と申せましょう。

 最近、西洋音楽が広く国民に浸透した理由と思える重要な歴史的事実に出会いました。17世紀から18世紀に渡る200年間、ヨーロッパでは《家庭音楽》と称されるジャンルが非常に盛んに行われていました。200年間に渡って、支配階級の人々は言うまでもなく、中産階級から身分の非常に低い市民から農民に至るまで、<家庭>において日常的に<アンサンブル>を楽しんでいたのです。あらゆる階層の国民が楽器を演奏し、室内楽によって音楽の喜びを分かち合っていたのです、実に200年の永きに渡って!!全ての国民が共に音楽することによって絆を深めていた・・・音楽が国民の血肉となってゆく原因の一つが、明らかにここに在ると思います。

 日本にはブラスバンドを経験した1000万人にも及ぶ「楽器演奏者」が居ます。音楽大学を卒業して、結婚・子育てを終えた多くのピアノを始めとする音楽家の方々も居ます。彼らがSNSを通じて出会い、日本の各地にアンサンブルの輪を広げる時代がくれば、日本の音楽環境は更に豊かなものとなるでしょう。SNS【音楽仲間】を立ち上げて、各県に運営ボランティアを募集したいと考えます。

 又、日本の標準的な家庭で、お稽古事で子供がピアノを習っているような場合、お母さんは子供にピアノの練習をさせる(子供のお尻を叩く)ことに苦労ばかりをしていて、一方でお父さんは「蚊帳の外」の状態であるのが一般的な傾向であろうと推察されます。しかしお父さんも、実は「もしもピアノが弾けたなら・・」と 内心 呟いているのでは無いでしょうか?

 SNS【家庭音楽会】を立ち上げ、全国的な広がりを目指したいと思います。コンセプトは<もっと家庭に音楽を!>。子供だけがピアノを習うのではなく、【家庭音楽会】の発表会では、お母さんもお父さんも、皆でアンサンブルする喜びを共有します。この練習の過程では、間違いなく「子供」がリーダーとなり、家族の絆が一層強くなってゆくことでしょう。SNS【家庭音楽会】を立ち上げ、運営ボランティアを募集したいと思います。

 jmc音楽研究所は電子書籍の出版ノウハウを所有しています。【音楽仲間】や【家庭音楽会】において、相応しいアレンジ楽譜の出版を実現することが可能です。【音楽仲間】では色んな楽器編成のアレンジを、【家庭音楽会】ではお父さんが<指1本>で参加できるようなアレンジ譜を出版してまいりましょう。
 
 jmc音楽研究所は<アンサンブル>に焦点を当て、クラシック音楽がより一層日本に根付き、日本人の心の喜びとなれることを願いつつ、努力してまいりたいと思っています。
by jmc_music2001jp | 2015-10-26 01:37 | 芸術随想