“jmc欧州芸術と自然の旅2016”Vol.6
2016年 06月 10日
私が我々の旅に必ず一度は織り込む<ピクニック・ランチ>(今回は朝食だけれど...)は、その国の空気に肌を触れながら、風景につつまれてゆっくり食事をすることで、その国の人の<想い>や<感覚>に出会って欲しいと願うからです。満開の桜の麓でお弁当をひろげて「あ々!日本人だなぁ!」と実感するように、(日本人とは異なる)その国の人々の<感覚>に出会う切っ掛けになることを願ってのことです。(時間の節約とは話が違うでしょう)
私の3年半の留学経験の折に触れ、日本と欧州との違いを実感して、<民族性>とは何か、<感性>とは何か、<文化>とは何か、<精神性>は何処に由来するのか、<自覚>とは何か、<芸術>とは何か・・・等々、多くを考えさせられ、沢山の《気付き》を頂きました。それに近い体験と気付きに、この9日間と言う短い時間で出会って欲しい・・・と言うのが、旅を企画する動機につながっています。
<ノンベルク修道院のお御堂の中、“祈り”が流れる>
私の音楽生活のターニングポイントとなったのが<ノンベルク修道院>の<夕べの祈り>です。ですから、ザルツブルグを訪問した折には、必ず皆さんをご案内することに決めています。今回の旅に初参加した男性は、一部上場企業の役員を務める現役のサラリーマンですが「人生観が変わった」とおっしゃってくれました。<夕べの祈り>に触れて、人生で初めて涙を流したそうです。この旅の日程の至る所に<人生観を変える出会い>の機会があったと思います。
<旧市街の教会と街並み、鐘・鐘・鐘が鳴り響く・・・>
今回、仕事の都合で止むなく途中で帰国した男性メンバーも、23年前の第1回に参加して、やはり「人生観が変わった」とおっしゃっています。彼は当時会社社長で現在は会長職を務めておられますが、仕事でどうしようもない場合を除いて、その後のほとんどの旅に同行いただいております。
<丘を散策、ザルツブルグ城の絶景と旧市街>
お二人の感想に共通していたのは『美しいもの』『優美』と言う言葉でした。<真実>は<美しい姿>をしています。クラシック音楽において、どうすればこの《姿》を日本に浸透させることができるのか・・・私にとって35年のアートマネジメントの課題はこの一点につきます。それについて、未だに苦闘する毎日が続いています。
<アウグスティーナ・ブロイ、庭園の樹の下で>
今回、我々の教室の(すでに結婚している)二人の卒業生が、初めて参加してくれました。体験すれば必ず<出会えるもの>がある、そう信じて旅程を組んではいるのですが、果たして二人にとって感動の連続で、人生の大転換点となってくれたようです。「今まで《感動》と言うものを知らなかった」・・・嬉しい言葉です。
<大聖堂での祝日のミサ。泣き出した二人、何かに出会ってくれたようです>