DVD-Vol.4『ザルツブルグ』を観て・・・
2016年 08月 23日
日本に生まれ育ち、海外を全く知らなかった私が、初めて触れたヨーロッパ。ザルツブルグでの3週間は、当然のごとく全てが《初めて》の体験だった。教会と祈る人々、パイプオルガンの壮大な響き、鐘の音、緑の木立、囀る鳥の声、肌に触れる空気と木の葉のざわめき、メンフィスの丘の散策の果てにたどりついたノンベルク修道院、そして偶然に出会った“夕べの祈り”......。
真っ白な“吸取り紙”が、その奥深くまで此れ等の体験を吸収していったように思う。それらは37年経過した今も、未だ生き生きと鮮やかに蘇ってくる。・・・これが「ヨーロッパ」なのか・・・こうして私の留学生活が始まった。
「日本人クラシック音楽家の為のマネジメント」を確立させないと、日本はこの先へは進めない・・・これが留学で得た私の結論だった。1982年に帰国して『一から勉強』を始め、株)ジェイエムシー音楽研究所を創立したのが1989年(平成元年)。以後、研究や実験、ノウハウの集積を積み重ねてきた。2016年、今やっとこれからの時代を踏まえての処方箋に見極めが付き、7月からその取り組みを始めている。
帰国以来、周りの人達から《ヨーロッパ》に連れて行って欲しい声が上がっていたが、平成元年に研究所を設立したのを区切りに検討を始め、第1回目を実施したのが平成5年であったと思う。プランの下敷きとなったのは、当然のごとく私が“心で感じたヨーロッパ”。文化や自然、芸術、味覚、感性の違いなど、私の心に強く焼き付けられた印象を、9日〜2週間の短い時間に体験を通じて感じ取ってもらう・・・その為に様々な要素を旅程に組み込んで実施してきた。
今回、ザルツブルグのDVDを観て、37年前の印象がそのままに生き生きと再現されている事に気付いて、本当に新鮮な驚きを覚えた。しかし、これまでの経緯を振り返えってみれば、それも極ごく自然で当然の結果と言えるのかもしれない。
<ザルツブルグ、モーツアルトの故郷>