小澤征爾“80歳記念コンサート”
2016年 09月 26日
一番心に残ったのは、小澤さんが日本とスイスで開講している弦楽四重奏のクラス生による演奏。チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」、メンデルスゾーンの弦楽合奏。この演奏の質に小澤征爾さんの教育活動の成果と『本質』が感じられた。
小澤さんは恩師斎藤秀雄の教えに心底共鳴して<弦楽四重奏>を学ぶ重要性を伝えようとしていた。その成果が、見事に『音』の姿をとって立ち現れる。本当に久々に<音楽の本質>をついた<本物>の音楽を聴いた。今日、このような音楽が実際に存在したこと事体、大事件でもあるし、一方で心の底からの安堵も覚える。
近年、心の底から発せられる<魂の音楽>に出会うことが、トンと無くなっていた。ウィーンに留学していた頃は、ザルツブルグ音楽祭でのベーム(ベートーベン第7交響曲)、バーンスタイン(プロコフィエフ第3交響曲)、ヴェーグ(モーツアルト嬉遊曲)、ウィーン国立歌劇場でのベーム(モーツアルト歌劇コシ・ファン・トゥッテ)、チェリビダッケ(ミュンヘン・フィルハーモニー)・・・数え切れないほどの生演奏と出会うことが出来ていた。
しかし今晩のBSで、今日にもこのような『生きた音楽』が存在して、それを伝えよう・育てようとしている人が居る・・と言うことが確認でき、心からの大きな喜びと同時に大きな安堵感を覚えることができたのだ。