心のスクリーン
2017年 04月 21日
このところ早朝に目が覚めて、頭が冴えていて寝付けないような日々が続いているが、そんな時は逆らわずに起きて所長室で仕事をする・・・眠くなれば、また寝ればイイのだから......。
一仕事してリビングに行くと、BSでリサイタルの放映中、女性のピアニストがシューベルトとラフマニノフを演奏している・・・紅茶を入れて飲みながら、何となく聴いていた。
演奏するとは、楽器で〝心のスクルーン〟に〝音像〟を描きあげる行為ではないだろうか。画家がキャンバスに筆を入れる時、イーゼルとキャンバスが〝ゆらゆら、クラグラ、ガタガタ〟と揺れていたならばドウだろうか?・・とても絵は描けまい。
〝心のスクリーン〟は静止しておかねばならない、さらにそのスクリーンから一瞬たりとも目を外らしてはならないのだ。〝心のスクリーン〟が静止した状態を保てて初めて、イメージ通りの〝音像〟を描くことができる。
ピアノという〝筆とパレット〟を〝想い〟通りに縦横に駆使するには、ピアノと自分との境界線である鍵盤の存在が、これもまた静止した状態で認識できていることが不可欠だ。〝心のスクリーン〟と〝ピアノと自分との境界線〟の双方を静止させて、意のままの〝音像〟を描き切ることができるのが、ただ一人『キーシン』というピアニストだと思う。