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by jmc_music2001jp

<ライナー・キュッヒルさん>

 ヨーロッパ留学に第一歩を印したザルツブルグでは、本当の意味で充実した沢山の体験をさせていただいたと思います。ウィーン・フィルのコンサートマスターを永年務められたライナー・キュッヒルさんの夏の別邸にお招きいただいたのも貴重な体験の一つです。
 ザルツブルグ音楽祭は、オペラ公演でのオーケストラはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が定番で、音楽祭の後半にはベルリン・フィルハーモニーのオーケストラ公演が組まれるのが常でした。
 ウィーン・フィルのコンサート・マスターとして、夏のキュッヒルさんはいつもザルツブルグで過ごされます。その夏の別邸にお招きいただく機会を得て、旧市街の中心部からバスで10分程の夏のお住まいを訪れました。
 部屋に入ると、先ず部屋の中を案内してくれました。押入れの扉を開けたり、食器棚の引き出しを開けては「夏だけの住まいだから、食器類も少ないんだ」・・・などと。なんだか少し不思議な思いでキュッヒルさんの後をついていったものです。その意味を知ったのは、帰国して何年も経った後の事でした。心を開いて客人を迎える時、普段わざわざ他人に見せることなどしない押入れの中や扉を開いて見せることで、気持ちを開いて内側に招き入れていることを示すのだそうです・・・そう言う<意味>だったのか….!今更ながらに有難く感じたものでした。中庭でバトミントンをしたのも、楽しい思い出です。
 ウィーンに移り住んでからも、何度がお住まいに遊びに行きました。奥様から、住み込みでお嬢さんの世話や家事の手伝いをしてくれる留学生の女の子を紹介して欲しいと頼まれ、留学生仲間で一番気立の良い女の子を紹介したこともあります。風の便りでその子は同じ留学生仲間のコントラバス奏者と結婚したそうで、きっと幸せに暮らしていることでしょう。
 今振り返ると、キュッヒルさんからウィーン・フィルの本番リハーサルに入れていただけたことが、ウィーン留学の意義の半分を占めているようにさえ感じます。カール・ベーム、リカルド・ムーティー、カルロス・クライバー、レナード・バーンスタイン等々・・・得難い程の音楽的体験でありました。

<ライナー・キュッヒルさん>_d0016397_18285581.jpg


by jmc_music2001jp | 2022-08-31 18:29