のだめ番外編“Ruiのパパ・エレジー”
2007年 08月 01日
ここではもちろんパパは登場しません。しかし居ることは確かです。パリを去ろうとするママの一言「パパも一応いることだし」....
....そうです....華やかなスポットを浴びる子供の蔭で....淋しいパパの後ろ姿があるのですネ...。一般に母親は自分の存在と子供の存在の境界線が不明瞭に成り勝ちです(Ruiのブーツを履いてみたり、コートを着て行こうとしたり・・)。神童を我が子にもった母は、この子が世に羽ばたく事こそが自分の成功であり生き甲斐となってしまいます。子を想う母心は何倍にもチャージされ、神童たる我が子に注がれます。
パパには「我が子がどんなにスゴカッタかを聞かせれば、それでもう十分満足なハズだ」と勝手に決めてかかっています。そして愛情(エネルギー)を注いで「我が子を育む」努力の結果報告をすれば、パパも自分と同じように満足なハズだと信じて疑いません....(かくして、すれ違い夫婦が誕生します)
しかしパパにとっても「我が子」のことです。我が子の活躍に喜びは感じますが・・夫婦の心が交差しない空虚感はぬぐえないのです。コミックには決して登場しない“のだめカンタービレ番外編”<Ruiのパパ・エレジー>の終結部は、コートの襟を立てたRuiパパの後ろ姿が、鉛色の空の下、人気の無い雪の街角に消えて行きます。