ガウディとの遭遇
2008年 07月 14日
ピレネー山脈を越えて南に広がるイベリア半島。スペインには中部ヨーロッパにも北部ヨーロッパにも無い特別な表情があります。800年に渡ってスペインを支配したイスラム文明。その当時のあらゆる分野において、中部ヨーロッパを遥かにしのぐ高度な文明が、ここに繁栄していました。
レコンキスタによってイベリア半島を奪還した後のキリスト教徒は、イスラムの建造物を破壊することなく、その一部を改修することによって使用したのです。アルカサル、メスキータ、アルハンブラ宮殿........イスラムの美はスペインに引き継がれ、後のスペイン人の美意識を醸成していったと思われます。ガウディの美意識の根底にイスラムが横たわっているのは疑いの無い事実・・・今回の旅の、収穫の一つでした。
<上/グエル公園のベンチのモザイク、ガウディの処女作カサ・ビセンス。下/アルカサルのタイルと謁見の間天井の漆喰細工>

ガイドブックで見たガウディは、なにやら奇怪な姿をして「?」の感が拭えなかったのですが、実際にガウディの作品の中に身を置くと、自然の中に包まれているような安心感と安堵感に、心が安らぐのを覚えます。これは実際に体験することなくしては、到底理解することは難しかったと思われ、これぞ旅の醍醐味と言えるでしょう。サクラダファミリア堂内の石柱も、野原に仰向けに寝そべって見上げた時の、空に向かって伸びる草のように感じられます。そこには肩の力がスゥーっと抜ける安堵感がある。ステンド・グラスも完成途上だが、キット明るい様々な空の表情を投げかけてくれることだろう。
<カサ・ミラの正面。サクラダファミリア堂内の石柱>
